
アガサ・クリスティー賞とは
公益財団法人早川清文学振興財団と株式会社早川書房は、英国アガサ・クリスティー社の協力を得て、ミステリ小説の新人賞、アガサ・クリスティー賞を創設いたしました。
本賞は、本格ミステリをはじめ、冒険小説、スパイ小説、サスペンスなど、アガサ・クリスティーの伝統を現代に受け継ぎ、発展、進化させる総合的なミステリ小説を対象とし、新人作家の発掘と育成を目的とするものです。
主催:公益財団法人 早川清文学振興財団 株式会社 早川書房
協力:英国アガサ・クリスティー社
第三回アガサ・クリスティー賞募集要項
- 対象 広義のミステリ。自作未発表の小説(日本語で書かれたもの)
- 応募資格 不問
- 枚数 長篇 400字詰原稿用紙400~800枚(5枚程度の梗概を添付)
- 原稿規定 原稿は縦書き。鉛筆書きは不可。原稿右側を綴じ、通し番号をふる。ワープロ原稿の場合は、40字×30行もしくは30字×40行で、A4またはB5の紙に 印字し、400字詰原稿用紙換算枚数を明記すること。住所、氏名(ペンネーム使用のときはかならず本名を併記する)、年齢、職業(学校名、学年)、電話番 号、メールアドレスを明記し、下記宛に送付。
- 応募先 〒101-0046 東京都千代田区神田多町2-2 株式会社早川書房「アガサ・クリスティー賞」係
- 締切 2013年1月31日(当日消印有効)
- 発表 2013年4月に評論家による一次選考、5月に早川書房編集部による二次選考を経て、7月に最終選考会を行ないます。結果はそれぞれ、本ホームページ、早川書房「ミステリマガジン」「SFマガジン」で発表いたします。
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選考委員 有栖川有栖氏(作家)、北上次郎氏(評論家)
鴻巣友季子氏(翻訳家)、早川書房ミステリマガジン編集長 - 賞 正賞/アガサ・クリスティーにちなんだ賞牌、副賞/100万円
- 授賞式 2013年10月開催予定
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出版・諸権利 受賞作は早川書房より単行本として刊行される。出版権(文庫化及び電子書籍化を含む)ならびに雑誌掲載権は主催者に帰属し、出版に際しては規定の使用料が支払われる。
テレビドラマ化、映画・ビデオ化等の映像化権、その他二次的利用に関する優先権は主催者が有する。
*応募原稿は返却いたしません。必要な方はコピーをお取り下さい。
*他の文学賞と重複して投稿した作品は失格といたします。
*ご応募は1人1作品に限らせていただきます。
*応募原稿や審査に関するお問い合わせには応じられません。
*ご応募いただきました書類等の個人情報は、他の目的には使用いたしません。
〒101-0046
東京都千代田区神田多町2-2
(株)早川書房内 アガサ・クリスティー賞実行委員会事務局
TEL:03-3252-3111
FAX:03-3254-1550
Email:christieaward@hayakawa-online.co.jp
第一回アガサ・クリスティー賞贈賞式を開催
10 月17日、明治記念館において、作家、評論家など多くの方々にご列席いただき、第一回アガサ・クリスティー賞の贈賞式が行われました。受賞作『黒猫の遊歩あるいは美学講義』の著者森晶麿氏に、ゲストとして来日されたアガサ・クリスティーの孫マシュー・プリチャード氏よりクリスティーの肖像が刻まれた正賞の盾が、また当財団代表理事早川浩より副賞100万円が贈られました。


選考委員の北上次郎氏、若竹七海氏による選評に続き、受賞者の森氏が登壇。「本書の原形は7年前に修士論文の執筆と育児に追われながら書いた」というエピソードや、「偉大な先人の名前を冠した賞を受賞したことをステップに、ミステリの高みを目指していきたい」という抱負など、受賞の喜びを語りました。森氏のお嬢様からのお父様に花束プレゼントというサプライズもあり、華やかななかにも和やかな贈賞式となりました。

第一回アガサ・クリスティー賞選評
選評 北上次郎
ジョイ・フィールディングの作風を想起する『いたずら天使』は、ヒロインの心理的不安、動揺などを軸に描く心理サスペンスで、それなりに読ませる。問題はミステリとしての新しさとパンチに欠けることだろう。『カーニヴァル・デイ』は人間関係が好都合すぎる。ストーリーがどれほど奇妙奇天烈なものであってもかまわないが、人物造形に血が通っていないのは困る。読ませる力は認めるが、そこが推しきれない。
『ユーディット』は、戦前のドイツを舞台にした長篇で、やや読みにくいが、よく言えば独自の世界観を持った作品とも言える。ただし、これは歴史小説ではあってもミステリではないと判断した。
私が惹かれたのは『顔のない女』。話はどうということはない。それをここまで読ませるのは構成がいいからだ。こちらもサスペンスで、『いたずら天使』と同様によくある話にすぎないが、こちらは見せ方に工夫がある。サスペンスを拒否する風情すらあるのだ。誉めすぎかもしれないが、天童荒太の山本周五郎賞受賞 作『家族狩り』に共通する怖さを連想した。背景の説明不足を他の委員から指摘されたが、それは確信犯だろう。陽介と温子が何も語らないのもその道筋を示し ている。綻びがないわけでもないので強く推しきれなかったが、これで諦めずによりいっそうの奮起を期待したい。
受賞作の『黒猫の遊歩あるいは美学講義』は、コピーと模倣はどう違うのかということの考察を始めとするペダンチックな講義が読ませる。母親が娘の姿を見つけられなかったのはなぜか、というように謎が小さいが、ポイントは謎の大きさ、派手さではなく、その謎がいかに人間の営みを映し出しているかという点にある。たとえば第五話は、たしかに苦しい謎解きではあるけれど、そこに人間のぎりぎりの営みがあるという点で素晴らしい。個人的には苦手なタイプの作品だが、この素晴らしさは認めなければ なるまい。
選評 若竹七海
言わずと知れたミステリの女王の名を冠する賞の第一回である。さぞや品格ある「楽しい殺人のおはなし」が…と思ったら、良くも悪くもクリスティーの名にと らわれない作品が最終候補に残ったのには驚かされた。例えば『カーニヴァル・デイ』。少子化対策のため、一日だけレイプが合法化された世界という設定への不快感はさておき、文章はうまいし勢いはあるものの、各シーンのつながりが悪く、設定のわりに読み終えた印象が薄い。『いたずら天使』は子どもの頃から母親を介した性的虐待にさらされてきた女の物語で、こちらは説明不足に加え文章も読みづらいが、徐々に緊迫感が増していくあたりは印象的だった。
『ユーディット』はナチスが台頭してきたヨーロッパを舞台とした歴史小説で、非常に興味深く読んだ。ただし、これだけのスケール、四百枚では短すぎたようで、話は味わいもなくどかどかと進み、映画のシノプシスを読まされているよう。また、父親を殺した真犯人が…という謎の伏線がきちんと敷かれていないなど、いろんな意味でミステリとしての配慮に欠けていた。
『顔のない女』はフランス・ミステリ的な味わいのある銀仮面テーマのサスペンスで、クラシックなあまりかえって新鮮に感じた。出版されるにふさわしい佳作だが、受賞作としての華々しさ、という点では地味で小粒。残念ながら、ポーをモチーフにした連作 『黒猫の遊歩あるいは美学講義』に一歩、及ばなかった。
問題は、『黒猫~』でポーのあるミステリの犯人を明かしている点だ。確かに有名な作品だが、知らない人間のほうがどう考えたって多いわけで、ネタばらしは原作に対する敬意と配慮に欠ける。ただしそこさえ直せば、薀蓄さえさわやかに読ませる文章力、魅力的なキャラクターで織り上げられた楽しいミステリで、クリスティー賞にふさわしい作品だと考えた。
選評 小塚麻衣子(ミステリマガジン編集長)
紛糾してもいいように、当日は釜肉ぶっかけうどん生玉子のせをかきこんで会場に臨んだのだが、予想に反して速やかな選考会となった。まず、飛び抜けたのが『顔のない女』と『黒猫の遊歩あるいは美学講義』。そこで、先に残りの三作についての 検討を行なった。以下、私の意見になるが、『カーニヴァル・デイ』は、随所に爆発的な勢いを感じた。印象的なシーンへ盛り上げていく力はあるが、ストー リーとしての繋がりが悪いので、納得のいかない感が最後までついてまわる。『いたずら天使』は、書きぶりは達者だが、古くさい印象がぬぐえなかった。ラス トをあのようにするなら、もっと信頼できない語り手ものにするなどの工夫もあったのではと思う。『ユーディット』は、先の読めない展開という点では一番 だった。でもそれは本作がミステリではないからかもしれない。フーダニットとしては謎解きがなく、冒険物というには主人公に都合がよすぎる。歴史知識の豊 富さと組み合わせた壮大な構想は評価したいが、あの枚数で描き切れるネタではない。
つづいて、決勝ともいうべき、『顔のない女』と『黒猫~』の検討だが、私は当初『顔のない女』への評価は高くなかった。筆致は五作中もっとも巧みで、とくに冒頭に提示される謎の掴みはピカイチだったが、謎が完全には解かれず、伏線も回収しきれていないように思われ、消化不良だったのだ。だが、北上・若竹 両選考委員に、これはそういうじわじわとした理不尽な恐怖を楽しむものだと教えられ、納得した。受賞には及ばないが、たとえば文庫などで読みたい佳品だ。 『黒猫~』は、ポー作品の新しい解釈と別の古典と日常の謎を三つ巴にするという著者の意欲に好感が持て、しかもそれが嫌味なく成功している。キャラクター も立っており、文章もこなれていて、総合評価が高かった。ただ、ポーの作品のネタバレがあることは作者と読者に対するマナー違反。作品の出来不出来とは別 だが、これを解決するという条件付きでの受賞となった。
第一回アガサ・クリスティー賞選考結果
7月26日(火)、第1回アガサ・クリスティー賞の最終選考会が、選考委員の北上次郎氏、若竹七海氏、小塚麻衣子・ミステリマガジン編集長の3名により行なわれ、森晶麿氏の『黒猫の遊歩あるいは美学講義』が受賞作に決定いたしました。
第一回アガサ・クリスティー賞
森 晶麿 『黒猫の遊歩あるいは美学講義』
弱冠24歳の大学教授、通称「黒猫」。美学・芸術学が専門で独自のアプローチで学会に旋風を巻き起こす若き天才教授 が、学生時代の同級生であるポオ研究者の女性とともに、ポオの作品に絡んだ相次ぐ怪事件、難事件に挑む連作ミステリ。
◯受賞者紹介
森晶麿 (もり・あきまろ)
1979年3月5日、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。漫画脚本・ライトノベルなどを手掛ける。埼玉県所沢市在住。
※審査の詳細についてのお問い合わせには応じられませんのでご承知ください。
第一回アガサ・クリスティー賞選考経過
第 一回アガサ・クリスティー賞は第一次、第二次選考が終了しました。厳正な審査の結果、下記を最終候補作といたします(到着順、名前はペンネーム、敬称 略)。この結果は早川書房のホームページおよび同社発行の雑誌「ミステリマガジン」「SFマガジン」の8月号(6月25日発売)にも掲載されています。
こ の後、7月下旬に選考委員による最終選考会を開催し、受賞作を決定いたします。なお、選考委員を務められる予定だった児玉清氏が先日お亡くなりになりまし たが、代役は立てず、北上次郎氏、若竹七海氏、小塚麻衣子ミステリマガジン編集長の3人が選考にあたります。結果は、当ホームページで発表いたします。ま た早川書房ホームページおよび「ミステリマガジン」「SFマガジン」の10月号(8月25日発売)でも発表されます。
『いたずら天使』城里田 圭
『ユーディット』アンジェラ・マリアンナ
『カーニヴァル・デイ』生倉 亘
『黒猫の遊歩あるいは美学講義』森 晶麿
『顔のない女』永田 豊
※審査の詳細についてのお問い合わせには応じられませんのでご承知ください。







