THE KIYOSHI HAYAKAWA FOUNDATION

第七回アガサ・クリスティー賞贈賞式を開催

2017年11月22日、明治記念館・蓬莱の間において、第七回アガサ・クリスティー賞の贈賞式、祝賀会を開催しました。
本年度は村木美涼さんの『窓から見える最初のもの』が本賞を受賞、また日野真人さんの『殺生関白の蜘蛛』(応募時の西恭司著『アラーネアの罠』を出版にあたり改題、改名)が優秀賞に選ばれました。

贈賞に先立ち選考員を代表して作家の藤田宜永さんから講評が述べられました。
村木さんの『窓から見える最初のもの』について、「まず最初に地味でフラットなタイトルに魅かれました。作品も派手さはなくあっさりとしているけれど、自然体で書かれ、細部の描写も丁寧です。こういう作品があってもいいなと思い、私は一番に推しました」と評されました。
また優秀賞の『殺生関白の蜘蛛』については、「最終候補作の中では最も完成度が高く、綻びがない安定した作品です。時代物でありながらミステリとして出来上がっています。既に作品を発表されているということは後で知りましたが、かなり書き慣れている方だなという印象を受けました。最後まで大賞を争った、優秀作に相応しい作品です。」と評されました。

贈賞式では、当財団代表理事早川浩より、村木さんに正賞の盾と副賞の賞金目録が、日野さんには賞状が贈られました。
受賞後マイクの前に立たれた村木さんは、「ずっと長い間書いてきて、なかなか結果につながらず、さすがにそろそろ諦め時かなと考えていました。でもちょっと悔しいので、中途半端になっているものはきちんと終わらせてからにしようと思い、この作品を書き上げました。受賞できたことはもちろん嬉しいのですが、とまどいもありました。いろいろな思いを味わってきましたが、今は諦めかけたことは忘れて、もう少し頑張ってみようと思っています」と喜びの気持ちを話されました。
また日野さんは、「創作に行き詰っている時に、クリスティー賞の募集要項を見ていると『冒険小説』と書いてありました。私はミステリの中でも冒険小説が大好きで、自分ではずっと冒険小説を書いているつもりでしたので、もしかしたら受け入れていただけるかなと、思い切って応募しました。このような賞を頂戴できてたいへんうれしく思っています。」と話されました。

贈賞式にあたり、協力いただいている英国アガサ・クリスティー社会長で、アガサ・クリスティーの実孫であるマシュー・プリチャード氏より、今年も次のようにお祝いのメッセージが届きました。

日本の新たな才能を、長年の友好関係にある早川書房・早川清文学振興財団とこのような形で祝福できることは私にとって望外の喜びであり名誉です。
『窓から見える最初のもの』で大賞を受賞した村木美涼さんには心からお祝いを申し上げます。見も知らぬ4人の人生が意外な一点で交錯する、精緻で心温まる作品です。優秀賞受賞の日野真人さんの『殺生関白の蜘蛛』は、安土桃山時代を舞台に幻の茶釜の争奪戦を描いた時代小説で、その独創性が評価されました。
出席がかなわず残念ですが、ご参集の皆様、どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみください。
本日は誠にありがとうございます。